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主催者メッセージ
Kawaii Konは、ハワイで開催される13000人以上のファンが集まって情熱的に楽しむファンコンベンションです。
ハワイは非常に強い日本人コミュニティを持ち、米国で最も多様な場所の一つであり、世界で最も美しい場所の一つと考えられています。
アニメ、マンガ、ビデオゲーム、音楽、ファッション、日差しのあるビーチ、豪華な天気など、すべてのゲストにアロハの精神とミックスを披露することに誇りを持っています。
訪問記
日本アニメ・マンガの世界浸透の凄まじさは既に何度も言及しているが、今は全米50州のほとんどでアニメファンによるイベントが開催されるような時代となった。
そんな時代を反映するようなイベントが太平洋の楽園として名高いハワイで開催されていると聞いて今回、参加させて頂いた。
Kawaii Kon(日本語公式表記は「カワイイ☆コン」)はハワイ州ホノルル市で既に12年以上の歴史を誇るイベントだ。毎年4月に開催され、参加者は1万4千人に迫る勢いだ。
会場はハワイ最大のイベントホール、ハワイ・コンベンション・センターを活用している。ホノルル市内に位置しており、空港から車で30分ばかりしか離れていない。
海辺に立てられたこの見本市会場はAPECなどの首脳会議でも活用されたことのある豪華な会場だ。複雑な多重構造になっており、水と風と太陽を満喫できるとても開放的な会場であるのが特長だ。
すぐ近くに大きなホテルとショッピングセンターがあり、利便性がすごく良い。イベントに参加するがてらそのまま大規模なアウトレットで買い物と多種多様な食事も満喫できる。
そんな巨大で複雑な会場でのイベントなると迷子になりそうだが、Kawaii Konは非常にしっかりとしたアプリを用意している。
iOS版とAndroid版が無料で提供されているKawaii Konアプリはイベント会場見取り図が用意されているだけに留まらず、予定されている催し物のスケジュールが全て掲載されており、通知を希望すれば開催時間にその旨をスマホで確認できる。
この他にも招待されているゲストの紹介や出展している個人サークルの一覧表と配置番号も掲載されており、飲食店案内まである。しかもユーザーが登録すれば参加者同士で写真やテキストメッセージのやりとりも出来る俊逸な出来となっている。
アニメイベントがファンコミュニティーの集大成であることを示す素晴らしい好例といえるだろう。
もちろんKawaii Kon自体、しっかりとしたイベントであった。小生の予定の関係上、三日間の開催期間の内、初日しかいられなかったが、開会式は非常に賑やかだった。
メインステージの観客席として用意された1500人分の席はほとんど満席となり、パラパラダンスから始まった開会式は日本から訪れた日本人ゲストで最高潮に達した。
観客は通訳せずとも日本語で話しかけるゲストに反応するほど日本語に精通している人が珍しくない。
もちろん通訳もしっかりと仕事をしていたが、Kawaii Konでは登壇したゲストがプレゼントを観客席へと軽く投げ込むのも手伝ってファンの熱気は高まるのも不思議ない。
開会式はバンドによるライブで締めくくられた。
開会式が終わった段階で来場者の多くの関心を集めるのは様々な出展者が軒を連ねる大広間。
ここでは商業ディーラーや個人出展者が様々な品物を机に並べて販売している。
多くのアニメイベントではこのような展示即売会スペースが用意されているのだが、Kawaii Konが独特なのは企業出展者よりも個人による言わば同人スペースが多いということだ。
通常、北米のアニメコンベンションでは企業がDVD・Bluray、マンガなどの作品やコスプレグッズ、フィギュアなどをディラーズ・ルームという区分で販売する一方、プロ・アマチュア問わず個人作家はアーティスト・アレーという区分で展開する。
二次創作などはアーティスト・アレーで見かけることが出来るのだが、ほとんどのイベントではディラーズ・ルームの方が広大でアーティスト・アレーの方が小さい。
しかしKawaii Konでは逆転現象を起しており、多くのクリエーターたちの作品を楽しめる魅惑的な空間が用意されている。
聞くところによると多くの個人出展者はハワイ在住ではなく、アメリカ本土や台湾やシンガポールなどの太平洋沿岸からのわざわざKawaii Konに参加するために渡航してきていることだ。
Kawaii Konで出展しつつそのままバケーションを楽しめるという図式らしい。まさしく一般参加者にとってもサークル参加者にとっても地理的にも魅力的なイベントであると言えよう。
この他にもコスプレカフェやマンガ読書室、トレーディングカードゲーム用スペースやビデオゲーム会場、また様々なアニメの上映室も完備されている。この他にも複数の会議室が講演会スペースとして用意されている。
この一室で小生も「同人ワークショップ」を開催させて頂いたが、40人以上の参加者に恵まれた。
日本から持ち込んだ同人誌印刷所資料やパワーポイントで日本の同人誌文化の紹介、同人誌づくりの基礎などを紹介したが、自己表現を求める参加者から色々な質問が飛び出したのが記憶に新しい。
自己表現と言えばKawaii Konでもコスプレはかなり旺盛で、ハワイ・コンベンション・センターの中を多くのコスプレイヤーが練り歩いていた。
撮影会にはうってつけの背景が潤沢にあり、スペールにも余裕が多いことからコスプレ撮影は津々浦々で展開していた。特定の作品のコスプレイヤーを集めた集合撮影会も旺盛であった。
Kawaii Kon主催者に尋ねた所、コンベンションの魅力にファン自身が気軽に貢献できるような環境を今後も重要視しつつ、多くの参加者を世界中から集めたいとのことであった。
ハワイというまさしく楽園で開催されたアニメ・コンベンションの魅力はこれからも飛躍的に向上するのを期待したい。
筆者:兼光ダニエル真
1972年生まれ、東京出身の翻訳家。IOEA主席広報代表日本の経済学者の父と合衆国ミネソタ州出身の母の間に誕生。ミネソタ大学東アジア学部卒。デビューは1989年だが、英訳翻訳活動は1996年から本格化。マンガ・アニメなどの翻訳を多数手がける。
新劇場版ヱヴァ・龍の歯医者の他、ブラックラグーンや宇宙戦艦ヤマト2199の翻訳・監修・制作にも参加。
90年代から2000年代にかけて、当時立ち上がった初期アメリカアニメイベントの多くに参加した。
参加メモ
参加するには
- ●会場
- Hawaii Convention Center
- ●参加費用
- 1日 :$38~43
3日間:$63