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Comiday

イベントURL
http://doujimasg.com/
主催団体
The Neo Tokyo Project
次回開催概要
シンガポール
2018年5月5日~5月6日

イベント情報(概要)

Doujin Market(通称Doujima)は、シンガポール最大のコミュニティー自身が精選する同人文化と若者イラスト見本市です。
シンガポールと地域全体の若者クリエーターによる二次創作とオリジナルの両方の作品を祝う祭典です。

訪問記

Doujima訪問記 (2017年5月6-7日)

小生は恥ずかしながらこれまで30年以上にわたって日本の同人誌展示即売会に参加してきた。サークル参加も20年以上にわたる。海外アニメイベントの黎明期である1990年代中盤、友人たちとアメリカ中西部のアニメイベントにも個人出展をしたことがある。各国のイベントに参加し続けて、それぞれの国・それぞれのイベントには特色があるのを楽しんできた。

台湾の同人誌即売会に立ち寄った際、日本の同人誌即売会との共通性が多かったのが面白かった。違いはあるが、個人出展者が自ら作った同人誌を頒布するのが大きな比重を占めているという意味では台北や高雄のイベントはヨーロッパや北米に比べるとかなり日本の同人誌即売会に近かったのだ。

今年、シンガポールの同人誌展示即売会であるDoujin Market(Doujima)への参加について検討する機会に恵まれた。

2016年11月に開催されたAFAシンガポールを訪れた際、北米のアニメイベントでよく見かけるディラーズ・ルーム(企業・事業を中心としたデモやプロモーション活動を含めた見本市兼販売コーナー。日本のイベントにおける企業ブースに近い)とアーチスト・アレー(個人出展者による展示即売コーナー。日本のイベントにおける同人エリアに近い)を確認していたが、同じシンガポールでもDoujimaはアーチスト・アレー主体のイベントとのフレコミだったので参加することにした。

シンガポールは小さい国であるが、東南アジアでも世界でも有数の豊かな国である。世界各国の企業も支社を設けているのは有名だが、民族と宗教がかなり多様で、世界でも類まれな都市国家だ。この地の個人の表現を主体としたイベントがどんなものか知りたくなったので今回サークル参加させて頂いた。

毎年開催は日本のゴールデンウィークの後半の時期が通年の慣例となっており、2017年は5月6日と7日の二日間開催だった。開催場所はシンガポール最大の見本市会場、サンテック・シンガポール国際会議展示場だ。都市のど真ん中にある複合コンベンションセンターで、展示即売会や見本市に加えてコンサートやスポーツ会場の設備もあり、すべては巨大なショッピングセンターと隣接している。

これだけ大きな会場で同人誌展示即売会を行うのだとすると日本の数千サークルが参加する同人誌展示即売会に近い大きなになるのではと早合点したが、実際には巨大な会場の踊り場を活用した即売会であった。それでもスペース数は約170スペースなので、日本の小規模オンリー系即売会の大きさに匹敵する。

日本では同じ会場に数千サークルが集うイベントが毎年何回も開催されているので、海外のアニメ・マンガイベントも似たような形式で開催されていると誤解しがちだが、実際には個人出展者が主体のイベントは欧米では稀有である。欧米のどれだけ大きなイベントでも個人出展者500サークルを網羅しているのはほとんどない。つまり例え170サークルと言っても、充分魅力的な大きさだ。

横長の会場に四列でサークルが並び、その中央には企業スペースのようなブースが八つほど用意されている。多くのアニメイベントとはほぼ真逆比率であり、珍しい。多くの欧米のアニメ・マンガイベントでは企業ブース出展者の方が多いのだ。

Doujimaは個人クリエーターの発表の場としての役割を尊重しており、日本の多くの同人誌即売会と同じようにファン自らが生み出した作品がイベントの主役だ。

この作品を出来るだけ多くの人に楽しんでもらえるようにと、一般参加者からは入場料を徴収していない。これまで多くの海外イベントに参加してきたが、これは非常に珍しい。

170スペースのサークルはシンガポール、マレーシア、タイ、台湾など周辺諸国から参加者で構成されていた。英語が共通語となっているので、コミュニケーシンにもあまり困らないのがありがたい。

小生と同じように二次創作の同人誌もあれば、完全オリジナルの同人誌があった。ただ、傾向としてはサークル参加者の年齢層は20歳前後が多く、「カワイイ」作品が多かった。ここでいう「カワイイ」とは日本の萌え絵柄に限定されず色々な作風があった。デフォルメを前面に押し出している作者もいれば、日本の少女マンガの様式美を踏襲しているクリエーターや日本の最近の絵柄でかわいらしい作品を生み出している人も珍しくなかった。

なお、サークル参加者の過半数以上が女性であった。女性サークルと男性サークルでは4:1とか3:1という比率である。

女性サークルが多いということもあってBLやヤオイ的な耽美を追求しているサークルもあったが、シンガポールではエロのみならず同性愛描写は規制されているので、かなり大人しい。国によっては規制が違うのでこれは仕方ない。今後より自由な風土が醸成されるのを期待しよう。

規制が多少あろうとも、作り手にとってもっとも大事なのは応援してくれる読み手側だ。読み手側がきちんといれば、多少規制あろうとも作り手はがんばれる。

Doujimnaはその点では全く問題なく、会場は多くの一般参加者で溢れていた。時間帯によってムラがあるが土曜日は午前12時の一般開場から夜7時間の閉場、日曜日は午前11時から夜6時まの閉場までガラガラになるというあまりなかったのである。

一般参加者は圧倒的に女性が多く、しかも男女カップルで本を見て回る方々も珍しくなかった。また、大型商業施設の踊り場に設置された展示即売会という特質上、普段であればアニメやマンガにあまり興味なさそうな高齢者や主婦が見て回る光景も珍しくなかった。このような方々が日本のアニメ・マンガ絵柄に影響された若者に作品に興味ないのではと思いきや、中には購買してくださる方々もいるので油断は出来ない…!

なお、開催期間は二日間であったが、日本とはことなりサークルの入れ替えは行われない。一日目も二日目も同じサークルが参加するので、ここは海外の多くのイベントと共通であった。

開催日一日目、Doujima主催者は閉会後にクリエーター同士の交流を促す食事会を開場の片隅で展開した。ピザ片手に色々なクリエーターがプロからも意見を聞けるというとても有意義な時間を用意しているのはさすがである。

Doujimaの開催は今年で三回。これからまだまだ成長するポテンシャルを持つイベントなので目が離せない。2018年には会場がさらに拡大するらしいのでシンガポール観光がてらに立ち寄るのをお勧めする。

蛇足だが最後に報告すると小生のサークルの売上は日本の中規模同人誌即売と同じレベルだった。海外のイベントで日本と同じ勝手が利くと考えるのは非常に危険だが、色々な可能性が待っている。国内のサークルも海外出展ついて検討するのはいかがだろう。

筆者:兼光ダニエル真

1972年生まれ、東京出身の翻訳家。IOEA主席広報代表

日本の経済学者の父と合衆国ミネソタ州出身の母の間に誕生。ミネソタ大学東アジア学部卒。デビューは1989年だが、英訳翻訳活動は1996年から本格化。マンガ・アニメなどの翻訳を多数手がける。
新劇場版ヱヴァ・龍の歯医者の他、ブラックラグーンや宇宙戦艦ヤマト2199の翻訳・監修・制作にも参加。
90年代から2000年代にかけて、当時立ち上がった初期アメリカアニメイベントの多くに参加した。
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