Comicup

イベントURL
https://nippop-eventi.it/
主催団体
Associazione Culturale NipPop / NipPop Cultural Association
次回開催概要
2020年5月22、23、24日

イベント情報(概要)

NipPopは、世界最古の大学ボローニャ大学で行われる日本文化イベントです。2011年、震災復興へのチャリティイベントとしてはじまりました。招聘された研究者によるシンポジウムを中心として、文化体験イベントや日本食体験コーナーが併設されています。

訪問記

ボローニャ大学。
名前を聞いたことがあるだろうか?

高校で世界史をとっていたら覚えているかもしれない。大学関係者ならもちろんご存じだろう。ボローニャ大学は世界最古の大学である。なんとその設立は1088年。日本でいえば平安時代から続く、超絶由緒正しき大学だ。いままでペトラルカ、ダンテ・アリギエーリ、ガリレオ・ガリレイ、コペルニクスなど歴史上名だたる人物たちを輩出してきた。「母なる大学」(Alma Mater Studiorum) とも呼ばれている。

そんなボローニャ大学のパオラ・スクロラヴェッツァ先生が立ち上げた日本文化イベントが「NipPop」である。当初は東日本大震災の復興支援イベントとしてはじまり、それが現在まで毎年一回続いている。毎年テーマを設けており、2019年は「FoodPop」、すなわち食がテーマだった。

そんなNipPopは大学が中心となっていることもあり、学術的なシンポジウムが中心のイベントである。イタリアには大きなオタクイベントがいくつかあるが、それらとは趣が異なっている。小規模な学会を思い浮かべてもらえるとわかりやすいかもしれない。

会場は「Quartiere Santo Stefano」という場所で、グーグルマップでは「exhibition center」と表示されるものの、通常想像される展示会場とはかなり違う。古い教会がそのまま使われており、メインのホールにはなんとフレスコ画が描かれているのだ。日本だったらそれだけで保存され、観光地になりそうな建物がそのまま使われているところにヨーロッパでも指折りの歴史を誇るボローニャという土地が垣間見える。

会期は三日間。朝から夜までプログラムがあるが、休憩時間は長い。昼食と夕食が会場内の食堂で振る舞われるが、こちらがかなり美味しい。流石は美食の国イタリア。もちろん、昼からワインが出てきて、当然のようにみんなが飲む。

ゲストしては、イタリアでも文学賞を受賞している作家の小川糸さんや、マンガ家のえすとえむさん、電通の丸山顕さん、早稲田大学の土屋淳二教授、などが発表者として呼ばれていた。規模を考えるとかなり積極的にゲスト招聘を行っているようだ。砂守は主催のパオラ先生をモデレーターとして、日本のアニメについて講演をすることになった。慶応メディアデザイン/国際オタク研究所の研究員、亀山泰夫さんと共同の枠で亀山さんは「アニメと食」というテーマで、砂守は専門である音楽について発表した。

その他にも、現地の研究者をはじめ、ヨーロッパの研究者の発表もかなり行われている。こちらでは、かなり白熱した議論が戦わされていたが、あいにくイタリア語であったためほとんど聞き取れず、スライドを元に推測するばかりだったのが少々残念だった。

会場内にはシンポジウム以外の催しも行われている。日本からの講師による忍者手裏剣体験教室や、会場中庭のテントを利用しての日本食体験など。また、レトロゲームの体験コーナーなどもあった。どれもかなり手作り感に溢れ、文化祭や地域のお祭りのようなテイストである。

会場のそばには中世からある城壁跡があり、昔はここがボローニャ市の外周だったのだろう。今では外側にも住民がいるが、街の主要な機能はいまでも旧市街地に集中している。街の中心部までは会場から徒歩で二十分程度。主催者たちからは発表のない時間には是非観光にいってほしいと強く推薦された。「この美しい街を見てください」ということで、誰もがボローニャという街に誇りを抱いているようだ。

中世以来の面影がそのまま残る街並みは非常に美しい。そのわりには観光客はほとんどいない。フィレンツェやヴェネツィアもよいがのんびりと過ごすにはボローニャは絶好の街で、旅好きにも是非おすすめしたい。

名物料理にも事欠かず、かの有名なボローニャハムは「モルタデッラ」、ボロネーゼは「ラグーソースのタリアテッレ」と呼ばれている。どちらも毎日食べても飽きないほどに絶品だ。

そんな美味しい料理とワインを楽しみながら、日本文化について議論を交わし、のんびりと街を散歩する……。
NipPopはそんな贅沢な時間が許されるとても貴重なイベントである。

筆者:砂守岳央

参加メモ

●日本からの距離
ボローニャ空港へは日本からの直行便はなく、乗り継ぎ一回で15時間?20時間。ローマからは高速鉄道で二時間弱、フィレンツェからは30分となります。
●都市の紹介
大学を中心とした城塞都市の面影を強く残しており、非常に美しい街です。観光客は少なく、徒歩でも十分に街を見て回れます。
●海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_153.html#ad-image-0
●会場名&会場サイト
Quartiere Santo Stefano
●コスプレについて
ほぼいない。日本からの忍者教室の方などは着ています。
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